innovatech studio & ROCOS

日本-ニュージーランド間でロボットの遠隔操作に成功!

innovatech studio / バレリオ・サルブッチ

innovatech studioはROCOS社(www.rocos.io)と共同で、移動ロボットの遠隔操作と仮想3Dマップ視覚化の実証テストに成功しました。

Rocos社はニュージーランドに本社を置く新興企業で、彼らが開発するロボットプラットフォームはクラウド技術を使用して遠隔地からの移動ロボットの操作、監視、自動化、3Dマップ作成を可能にします。

今回の実証テストでは日本(2ヶ所)とニュージーランド(1ヶ所)の合計3ヶ所から同時にロボットにアクセスし、遠隔操作で弊社オフィス内に設けた特設コース内のロボットを安全に走行させられることが実証できました。ROCOSのプラットフォーム使用することで、PCとネット環境さえあれば世界中のどこからでもロボットを遠隔操作できることが確認できました。

今後もROCOS社と共同でロボットプラットフォームの研究開発に取り組んで参ります。

2025年の崖

innovatech studio / CEO 瀬沼健吾

2018年の9月に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーションレポート ~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~」と言うなんとも長いタイトルのレポートを出しています。

56ページの長いレポートですが、私が最近思っている事に対して非常に的確で且つ具体的に説明してくれているので、今回はこのレポートの内容を要約して紹介しながら、これからの日本企業のあるべき姿の話をしたいと思います。

レポートの原文:
経済産業省 DXレポート ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開

レガシーシステムの障害

近年、ビッグデータ解析、AIなどの技術の進歩が顕著で、多くの企業にも可能性が評価されてきており、これらのキーワードが日経に載らない日はない位に注目されています。

しかし、実際に現場に立ってみるとそこまでAIが現場に浸透しているとは言い難いと感じる方も多いと思います。

それはなぜか。端的に言うと、今多くの企業で使われている業務システムが、老朽化、複雑化、ブラックボックス化してしまい、AIなど新興技術に対応出来る様な構造になっておらず、アップデートするには大きなシステムの変更が必要だからなのです。

なぜその様な状況になってしまっているのか、いくつか原因が紹介されています:

  • ユーザ側にエンジニアがおらず、ベンダーに丸投げする為ベンダーに依存してしまう。
  • 個別最適を繰り返した為、全社最適に向けたデータ利活用が出来ずAIを活用出来ない。
  • 有識者が退職してしまい、だれもシステムの中身が解らない。
  • スクラッチ開発による独自ノウハウが発生し、一部の開発者しか解らない。

さらに深刻なのは、このようなレガシーシステムになっている事が発見されなかったり、仮に発見されてもITに詳しくないマネージメント層や経営者の理解が得にくかったりと言う問題があります。

2025年の

レガシーシステムが改新されないと何が問題なのでしょうか。新たな技術に対応出来ない事で機会損失が発生するのは明らかだと思いますがそれだけではありません。

もしブラックボックス化されたシステムを使用し続けているのであれば、そのリスクが発見されずに深刻な問題になってしまう可能性もあるのです。

わかりやすいリスクがサポートの終了です。もしかしたらブラックボックスの中でとっくにサポートが終了されたWindows XPが動いているかも知れません。

他には、ERPベンダーのトップ、SAPユーザーのうち、2000社の保守サポートが2025年に終了する事は2025年問題として頻繁に取り上げられているので聞いた事があるかと思います。

本レポートでは、2025年までにこれらのレガシーシステムを改新するために必要なエンジニアが足りず、何か手を打たないと2025年以降年間12兆円のデータ損失やシステム障害による経済損失が発生すると警告しています。

12兆円と言うのは日本のGDPのうちの企業投資支出の約15%に当たります。業界によってばらつきはあるにしろ、自社の投資支出の15%がシステム障害に対する補填と考えるとすぐに対応しないと恐ろしいですね。

対応方法

この問題の対応方法として、本レポートでは、

①大きく考え方を変える事
②システム開発の方法を変える事

の二つを提案しています。

①大きく考え方を変える事

まず考え方としては、ユーザー企業の経営者がITビジョンを作り、それを語らなければなりません。システムをベンダーに作ってもらうもの、と言う考え方ではなく、自社側にプロダクトオーナーを置き、アジャイル開発をマネージメント出来る必要があるのです。ユーザー企業側にもエンジニアや、それ同等の知識やスキルがある人材が必要になります。又、契約も今まで一般的に使われている請負契約を大きく見直さなければなりません。請負契約がアジャイル開発には向いてないのは勿論の事、ソフトウェアベンダーがユーザー企業の担当者の意見に反対してでも良いモノを作る動機を持つ事ができないのです。レポート内では、技術研究組合を始め、いくつか契約例が紹介されています。

②システム開発の方法を変える事

システム開発の方法として、前段階でゴールイメージが共有されたら、破棄するものは破棄する、マイクロサービスの活用、既存プラットフォームの活用、を行う事を提案しています。

まず、レガシーシステムでブラックボックス化してしまったものは、作り直したほうが早い場合が多いです。その場合は今までのものを破棄し、作り直す決断をする勇気が必要です。

次にマイクロサービスです。複雑なビジネス・プロセスに対応しながら、複数のソフトウェアでデータを一元管理するにはマイクロサービスが一番効率的です。一度社内ソフトウェアをマイクロサービス中心にすれば、次に新しいソフトが必要な場合も、既存のソフトをレゴブロックの様に組み合わせるだけで半分位作れてしまうという事もあります。又、段階的な移行もしやすくなり、これから30年後に起こりうるシステムの複雑化、ブラックボックス化を防ぐ事も出来ます。

最後に、既存プラットフォームの活用です。ここ10年で無数のWebサービスがリリースされました。現在は昔の様に、新しいソフトウェアをゼロから開発する必要はほとんどなくなりました。今世の中にあるサービスにAPI連携するだけで高度で複雑な処理が可能なソフトを作る事が出来ます。作る必要もないかも知れません。

終わりに

“Every business is a software business”
「全てのビジネスはソフトウェアビジネスである」

ワッツ・ハンフリー

これは、ワッツ・ハンフリーと言うエンジニアの20年以上前の言葉だそうですが、最近マイクロソフトのCEO、サティア・ナデラが「世の中の全ての会社はソフトウェア会社だ」と繰り返し言っているので少し知られているかと思います。

今までソフトウェアはツールでしかなかったのですが、これからのAI時代では業種関わらずソフトウェアがビジネスの根幹を揺らがす存在になる事は間違いありません。

これからの経営者は、「自社がどうあるか」と言うビジョンを描く際に、「自社の“システム”がどうあるか」と言うITビジョンを同時に描く必要がある事を認識しなければなりません。

そしてそのITビジョンと会社のオペレーションを調和させる必要があるのです。これからの会社は全てソフトウェア会社です。それを認識して対応している会社は伸びていき、それに気づいてない会社は自社が朽ちている事にも気づいてないのです。

と、こんな事を言っていますがイノバテックスタジオは決して業務システムの開発会社ではありません。「レガシーシステムが大変なので新しいERPを開発してくれ」、と言われてもコンサルティング位しか出来ないと思います。

ただ、AIやロボティクスなどの最先端技術を研究し、それらを扱うビジネスを行う企業として、日本企業が技術レベルでどんどん諸外国に引き離されている事に大きな危機感を持っています。

業務上、日々様々な企業の方々と接する機会があるので、少しでもこの内容を伝えることで日本の状況に影響する事ができたら、と言う想いから今回の題材を取り上げさせて頂きました。